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『新・物理入門』(山本義隆/駿台文庫)

『新・物理入門』(山本義隆駿台文庫)

〜「うんうん唸って考えなければならない」(本書冒頭部より)〜

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対象:物理をしっかりとやってみよう!という微積既習者

キーワード:物理、基礎

 

さぁ、やってきました、『新・物理入門』!!

 

先日は『物理のエッセンス』をレビューしてみましたが、

textbook-qna.hatenablog.com

それとともに、物理の学習にはもう1ルートあると思っています。

偏見かもしれませんが。

 

駿台、物理科を牽引してきた山本義隆師。(駿台では呼称に”師”をつける慣習があります。)

経歴も人物もとってもユニークで偉大な方なので、Wikipediaを見るとめちゃくちゃおもしろいです。駿台御茶ノ水校舎で師に影響を受けた先輩は多いのではないでしょうか。(私は森下師に学びましたが。)

個人的には師の『磁力と重力の発見』(みすず書房)は、アカデミックな進路を考えている人にとって必読だと思います。

 

磁力と重力の発見〈1〉古代・中世

磁力と重力の発見〈1〉古代・中世

 

 

 

閑話休題

高校の物理学習には2ルートある、もしくはそれらのハイブリッド、というのは私の持論です。

微積を用いて理論を構築していくルート。

微積を極力用いずに公式やパターンを覚えていくルート。

どちらが正しい、という言い方はなかなかできません。

なぜなら物理を学習し始める一般的な高校1年生は微積を学んでいません。

少なくとも、

・ベクトル

・極限

微積

あたりが数学ⅡBまでしっかり出来ているよ、という人が手にとるべきでしょう。

 

ですから、

・東大東工大、医学部を目指す”余裕のある”浪人生

旧帝大で物理を真剣に学ぼうという、受験にある程度”余裕がある”現役生

は、書店で手にとってみると良いでしょう。

Amazonのリンクを一応最後に貼っておきますが、Amazonで購入することはオススメしません。

ちょっと意識高い感じで買うのもオススメしません。

 

と、上記でめちゃくちゃディスっているように見えますが、決してそんなことはありません(???)

私はこの参考書のおかげで物理をしっかり学べましたし、この本が示している物理の方針は正当なるものです。

 

「一口で言うなら、結果を丸暗記するのではなく、そこに至る過程とそれが表す物理的現実を理解することが大切なのだ。」(本書冒頭部より)

 

ただ、やはり冒頭部にも書いてあるとおり、予備校の授業と平行して読む副読本という性質がある(これはまぁ、駿台のトップ授業でしょう)ため、自学でこれをガッツリ進めるのは相当な気合と根性が必要であるのは確かです。

 

数式は読み飛ばさない、という師のアドバイス通り、うんうん唸って、手を動かして、読み進めていく書だと思って、覚悟を持って進めてください。

(傍線部A)

 

新・物理入門 (駿台受験シリーズ)

新・物理入門 (駿台受験シリーズ)